RiME ストーリー考察

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RiMEのストーリー考察。

ほとんどが解説のため、ゲームをクリアしてから時間が経っている方でも、思い出しながら読めると思います。

 

以下の考察はネタバレ全開で書いています。

ご注意ください。

 

 

 

 

 

 

RiME~終わりは新しいことの始まり~

RiMEは父親が息子の死をゆっくりと受け入れていく物語です。

作中の描写などをヒントに物語を説明していきます。

 

鍵穴~覗き見えた真実~

ゲーム内の収集要素として「鍵穴」がありました。

覗くとイラストが見えるアレです。

鍵穴をすべて覗き見ると、PS4XBOX Oneではトロフィー/実績の「真実」を取得します。

その名称通り、鍵穴から見えるイラストは物語を理解するための重要なヒントです。

それではさっそく、1つ目の鍵穴を覗いてみましょう。

 

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父・母・息子、3名の人物が写っています。

子供が産まれた場面ですね。 

 

続けて2枚目と3枚目です。

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息子が成長する傍らで、母が亡くなりました。

イラストを見る限り、事故や事件ではなく病気が原因のように思えます。

続きを見ていきましょう。

 

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ゲーム内で描かれたように、父と息子は船で海に出ました。

そこで海難事故に会い、息子が亡くなって父親だけが生き残ります。

息子と一緒に海に出たはずの父が、イラストで島に居るのは、自身が生き残ったことの表れです。

 

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次に、息子を失って悲しみにくれた父親は、自分の住む土地を模した世界を生み出します。

もちろん、その世界は父親の内面だけのもの。

のちにゲーム本編で少年(息子)が冒険する島のことです。

 

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父の精神世界の中で、少年の乗った船が鍵穴の塔がある島へと向かっています。

波が荒れていたり、塔の頂上にある鍵穴などから、このイラストがゲーム本編のオープニングにあたることが分かりますね。

 

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波の荒れた夜の現実世界には父親が  

それと対になった穏やかな日中の精神世界には、少年が描かれています。

塔の頂上へ辿り着いた少年は、手を伸ばす父親から最も遠い場所にいますね……。

 

1つ前のイラストはゲームのOPにあたるので、このイラストが本編を表しています。

なので、これがどういう意味を持つのか、今度は鍵穴ではなく、ゲーム本編である「父親の精神世界」を覗いてみましょう。

 

 

受容過程~On Death and Dying~

ゲーム本編の解説の前に1つだけ説明しておくことがあります。

各チャプターには、以下のようなタイトルが付いていました。

(クリア後のメニューでチャプターを選択する際に、名称を確認できます)

  1. 否認
  2. 怒り
  3. 取引
  4. 抑鬱
  5. 受容

これらは『死ぬ瞬間』(On Death and Dying)という本の中に書かれている「死の受容過程」を表したものです。

その書籍はアメリカの精神科医のエリザベス・キューブラー=ロスが著したため、著者の名を取って「キューブラー=ロスモデル」とも呼ばれています。

 

この「死の受容過程」とは……

死を自覚した人が、どのように死と向き合い、受け入れていくのか?

その過程を5段階に分けて示したものです。

 

各段階に関しては、ゲーム本編の内容に合わせて解説していきます。

 

 

否認~Noと言わないで~

第1段階は「否認」です。

「まさか死ぬなんてありえない!」

「死んだなんて嘘だ!」

こんな具合に、死の事実を否定することから始まります。

 

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ゲーム本編では、海難事故で亡くなったことを否定するため、海へ落ちたが、島に流れ着き助かった、という表現がされていました。

 

自然が豊かで、動物たちも暮らしている平和な島。

そこで少年は、キツネや赤いマントの人物を追いかけるように、鍵穴の塔を目指します。

 

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話が少し脱線しますが……

塔へと向かっていくと、途中でスフィンクスのような像がありました。

 

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スフィンクスと言えば、エジプト神話やギリシア神話メソポタミア神話などに登場する、ライオンの身体と人間の顔を持った神聖な怪物です。

王家の墓に代表されるような、偉大な者の死を見守る存在としてイメージされていますね。

 

プレイ中に気付かなかった方もいるかもしれませんが、実は、スフィンクスの像の下にお墓があります。

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この記事の最初の方で紹介した鍵穴のイラスト。

その3枚目にも白いお墓が写っていましたね。

 

そう、像の下にあった墓は、少年の母親のお墓だったんです。

 

話を本筋に戻します。

鍵穴の塔の中に入ると、大きな像がありました。

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椅子に座った男性が静観しているように見えます。

これは少年の父親です。

少年の死を否定することで、この冒険の成り行きを見守っていたのです。

 

このチャプター自体も終始、穏やかな空気に包まれていましたね。

それでは、塔の2階へと参りましょう。

 

 

怒り~我慢の限界~

塔の2階の入り口にも、同じような像がありました。

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コブシを打ちつけ、何かを思いっきり叫んでいます。

 

第2段階は「怒り」です。

「なぜ死ななければならないんだ!」

「どうして死ぬ羽目になるんだ!」

 

まるで、あの像のようです。

死に対する怒りを周囲に撒き散らしていたのですね。

 

 

塔の2階は、怒りによって干上がった砂漠が舞台。

コンドル?が金色の玉を奪い、巣へと持ち帰りました。

注:鳥の種類について作中で断言されていません。あくまで筆者の憶測です。

 

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パズルを解く邪魔をされてストレスを感じたプレイヤーも多いはず。

コンドルに対するプレイヤーの感情も「怒り」でした。

 

少年はコンドルを撃墜すべく、風車の近くで黒い雲を発生させます。

黒い雲からはコンドルに向かって雷が放たれました。

 

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「雷を落とす」

これも怒ったり、叱ったりする表現です。

そのように意味を捉えると、コンドルは怒りをぶつけられる対象(周囲にいる者の象徴)としても考えられます。

 

このように砂漠のチャプターは怒りに満ち溢れていました。

 

 

取引~奇跡を願って~

死の受容過程、その第3段階は「取引」。

この言葉からは、あまりイメージが湧きにくいかもしれませんね。

 

意味としては、神にすがる気持ちで、死なずに済むよう取引を応じること。

「まだ死にたくない。何でもするから助けて欲しい」

「悪かった。もう悪いことはしないから許してくれ」

こんな感じですね。

 

3度目となると、流れで予想が付くと思います。

あの父親の像です。

 

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天に向かって、手を伸ばしています。

まさに「神にすがる気持ちの表れ」ですね。

 

このチャプターには他にはない特徴があります。

ループする回廊や永遠と続くような廊下。

神秘的な、スピリチュアルな、超自然的な物や場所が随所に見られます。

 

風鈴をモチーフにした衛兵も仲間になりました。

注:トロフィー/実績の『競争』より、これが「衛兵」という名であることが示されています。

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抑鬱~絶望に打ちひしがれ~

第4段階は「抑鬱」。

第3段階の「取引」に失敗し、死が逃れられないものであることを悟り、絶望した状態を指します。

「奇跡なんて起こらない。もう死ぬ運命なんだ」

「諦めるほかに道はない。それしかないんだ」

 

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大雨が降り、石で構成された無機質な場所。

涙のような雨の中、父親の像は顔を手で覆っています。

前のチャプターで仲間になった風鈴の怪物も、扉を開けるための犠牲になっていきました。

そして  

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最初から仲間だったキツネをここで失います。

筆者としては、RiMEの中で一二を争うくらい印象の強い場面です。

 

 

受容~執着心を捨てる~

第5段階は「受容」です。

言葉通り、死を受け入れる段階ですね。

「死んでしまった。これは仕方のないことだ」

「死んだことは事実だ。変えようがない」

 

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少年が星の輝く穴へと落ちていきます。

 

余談ですが、世界で初めて手話を使い人間との対話に成功したローランドゴリラの話をしましょう。

そのゴリラはココという名前でした。

ココに「ゴリラは死ぬとどうなるのか」を手話で尋ねたところ、返ってきたのは「苦しみのない 穴に さようなら」だったそうです。

 

このエピソードは1つの死生観として紹介しました。

話にあるように「暗い穴に入ること」が、人類を含めた動物が共通して持っている死のイメージなのかもしれませんね。

少年が満天の星空へダイブしたのも、死をイメージしたものと考えられます。

 

さて、海難事故のシーンです。

プレイヤーの視点が「息子」から「父親」へと変わります。

 

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ここでようやくプレイヤーは、自分が少年ではなく父親だったことを知りました。

同時に、赤いマントの人物が本当の少年でした。

 

さらに各チャプターの像が父親だったこと、塔の頂上にある鍵穴が息子の部屋のものだったことが明かされます。

 

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息子の死を受け入れることが出来なった父親は、部屋の鍵を開けることが出来なかったのですね。

息子の部屋へ入った父は、かつて息子に買い与えたであろう「おもちゃ」を眺めて  

船に救い上げることが出来なかった息子への後悔の象徴である「赤い布の切れ端」を手放します。

(筆者の憶測ですが、赤いマントだと思っていたものは、船に乗ったときに身に着けていたレインコートだと思われます)

 

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息子の死を父親が受け入れたところで、この物語はエンディングを迎えました。

 

 

老水夫行~To all who are grieving with loss~

考察を交えながら、まとめに入ります。

終盤にプレイヤーが少年の父親であると明かされるまで、プレイヤーは少年であると錯覚していました。

そのため、しばしば少年が死を受け入れる物語と勘違いされています。

実際に少年の視点で、各チャプターを解釈すると……

  1. 「まさか僕が死ぬなんてありえない!」(否認)
  2. 「なぜ僕が死ななければならないんだ!」(怒り)
  3. 僕はまだ死にたくない。何でもするから助けて欲しい」(取引)
  4. 「奇跡なんて起こらない。もう僕は死ぬ運命なんだ」(抑鬱
  5. 僕は死んでしまった。これは仕方のないことだ」(受容)

あれ? 筋が通っていますね。

それもそのはずです。

 

本来の「死の受容過程」とは、200人の末期患者との対話の中で発見されたプロセスです。

自分の死を自覚した患者が、どのように自身の死と向き合い、受け入れていくのか。

その過程を5段階に分けて示したものだからです。

 

しかし、少年が死にゆく物語であるとしたら、ゲーム内の表現に1つだけ大きな矛盾が生じます。

問題となるのは、チャプターの合間に挟まる海難事故の回想です。

少年が死を自覚し、死を受け入れる物語であったなら……

その回想は「少年の視点で、少年が海へと落ちていくシーン」でなければなりません。

 

実際の回想は、赤いマントの人物を助けられなかったシーンでした。

なので「少年が自らの死を受け入れる物語ではありえない」と考えています。

 

念のため、父親の視点から各チャプターを解釈してみます。

  1. 息子が死んだなんて嘘だ!」(否認)
  2. 「どうして息子が死ぬ羽目になるんだ!」(怒り)
  3. 私が悪かった。もう悪いことはしないから息子を許してくれ」(取引)
  4. 息子を諦めるほかに道はない。私にはそれしかないんだ」(抑鬱
  5. 息子が死んだことは事実だ。私には変えようがない」(受容)

こちらが正しいので、当然ながら筋が通ります。

 

本来の「死の受容過程」とは趣旨が異なりますが……

息子の死を自覚した父親が、どのように息子の死と向き合い、受け入れていくのか。

RiMEは「その過程を5段階に分けて示した物語」だったのですね。

 

 

最後に、タイトルの意味についてお話します。

「RiME」は18世紀の詩「老水夫行」が由来です。

イギリスの詩人、サミュエル・テイラー・コールリッジによる代表作。

英題は「The Rime of the Ancient Mariner」となっています。

老水夫行 (海洋冒険文庫)

「老水夫の歌」とも訳される本作は、水夫がアホウドリを射殺した罪により、仲間と共に南極へ流され、神秘的な体験を経て、故郷に帰郷する物語詩です。

 

嵐によって南極海へと到達する船。

神秘的な体験に、感情が平静を取り戻す過程。

さらには詩のテーマもゲームにあっていることから、詩の一部である「Rime」をとったそうです。

 

英単語の「Rime」には韻や詩だけでなく、霜や白霜という意味もあります。

南極を舞台にした作品が元であることを知れば、その意味に納得することでしょう。

 

ちなみに「RiME」とタイトルが付く前は「Siren」でした。

有名なゲームとタイトルが被ってしまうため、タイトルを変える必要に迫られました。

その時、SONYが提案したのが「Rime」。

本作のプロデューサーがそれを承諾してタイトルが決まったそうです。

なかなか面白い経緯ですね。

 

 

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「RiME」は失う悲しみを持つすべての人々のために作られた作品でした。

この記事を通して、作品の真意を知ってもらえたなら幸いです。

 

喪失を乗り越えた先に、新たな始まりがあることを祈って  

この記事を終えたいと思います。

ありがとうございました。

 

※本記事は以下の記事を参考にしています。

英語で書かれていますが、興味のある方は読んでみてください。

 

 

『RiME ストーリー考察』  了。

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